近年、日本特許庁は、知財高裁の裁判官をオブザーバに招いて、審判官、弁理士、知財弁護士、民間人(知財協)で勉強会(審判実務者研究会)を毎年開催し、審判の結果とこれに対応する知財高裁の判決との結果の検討を行い、その研究会報告書を出しています。
なぜ審判合議体はそのような審決をだすのか、なぜ知財高裁は通常の行政裁判に比べて高い率で行政処分である審決を不適法と判断するのか、を考える上で、大変興味深い内容です。全部読むのが大変な場合は、要約だけでもお読みなると、概要を知ることができます。https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/kenkyukai/sinposei_kentoukai2017.html
法的な構造として、行政処分の是非は最終的に裁判所の審査に委ねられますから(憲法76条)、審決が不適法だとすると当然に裁判所は取消判決をします。ただ、取消が多いということは、知的財産である権利の安定性、権利行使の予測可能性、ひいては特許制度の信頼性に影響がないとはいえないと考えられます。
上記の研究会報告書をレビューすると、その要因を分析できるかもしれないと思うのですが、明日の中間処理の締め切りが…。どなたかご一緒に考えていただける方はいないでしょうか(@_@)。
石渡英房