2018年10月12日(金) AIPPI・JAPAN 米国知財セミナー

AIPPI・JAPAN米国知財セミナー
「米国特許実務の最新動向について知っておくべきこと」

当協会では、米国Knobbe MartensよりKerry Taylor 氏、Joe Mallon 氏及びIrfan Lateef 氏お迎えして標記テーマに関するセミナーを開催致します。
講演内容につきましては以下の項目を予定しております。

1.当事者系レビュー(IPR)の新たな戦略
【講演者】Kerry Taylor 氏
ここでは、IPRに関する重要判決およびUSPTOガイドラインに関する最新情報と、それらによって、IPRの申立人および特許権者の戦略がどのように変わってきたかについて説明します。
IPRは、特許侵害訴訟における特許権者と被告の両者に影響を及ぼします。IPR手続きの過程がどのように影響するかを理解しておくことは、当事者に良い結果をもたらすカギとなります。IPR開始の判断に関しては「対象となる全てのクレームについて開始するか、全く開始しないかの何れかにすべきである」という最近の最高裁判決によって、判断の本質が変わりました。これによって、特許の有効性を争うことや、禁反言のリスク評価に関する戦略も変わってきます。さらにCAFCが、主権免除、IPR請求の権利喪失期日、補正の申立等のIPRに関する数々の重要な判断を示しているため、当事者が戦略を構築する際に、IPRが及ぼす新たな影響を理解しておくことが重要です。また、USPTOが示したIPRの運用に関する新たなガイドラインも、各当事者の主張に影響を及ぼします。このガイドラインについても、その内容の紹介と、IPR戦略に与える影響について説明します。

2.鑑定書の有効な活用方法
【講演者】Joe Mallon 氏
鑑定書は必須ではありませんが、故意侵害のリスクを回避する最善の方法になる場合があります。ここでは、企業が侵害を警告された際に取るべきステップ、侵害警告への応答のしかた、鑑定する弁護士を選定する際に考慮すべき要因、そしてこれらが裁判に及ぼす影響などを中心に説明します。
2007年のIn re Seagate Technology判決によって「客観的な無謀さ」の基準が示され、鑑定書の有無にかかわらず、故意侵害の証明は以前よりも困難なものとなりました。被告は、法律の素人であっても、非侵害または特許無効と考える理由についてもっともらしい説明ができれば、特許権者が侵害を証明することは困難でした。しかし、最高裁のHalo Electronics, Inc. v. Pulse Electronics, Inc.判決でわずかに揺り戻しがあり、判断基準が「客観的な無謀さ」から「主観的な無謀さ」に改められ、現在では被告が被疑製品の販売を始める決心をした時点の認識や信念がいかに合理的であるかが、より重視されるようになりました。つまり、信念を裏付ける誠実な精神状態が必要となることから、弁護士の鑑定書を得ることが改めて重要になりました。

3.特許訴訟への備えについて知っておくべきこと
【講演者】Irfan Lateef 氏
ここでは、企業による特許侵害事件への対応または抗弁に影響を与える最近の判決例について解説します。
まず、特許適格性ですが、被疑侵害者が初期の段階で争うのにとても有効な手段です。そのため、ほとんどの被疑侵害者は、Mayo事件およびAlice事件で最高裁判決が示した米国特許法第101条の要件を、対象特許が満たすかどうかという点から抗弁を開始します。2014年から2017年の3年間、地裁による特許適格性の判断は400件を超えていますが、判決理由の多くにおいて、法律問題として不適格と判断されています。2018年2月には、CAFCがBerkheimer事件およびAatrix事件の判決をいずれも破棄し、特許適格性が法律の問題かどうか、訴答や略式判決に基づいて解決するのが適切か、という点に疑問を投げかけ、法曹界に不安を生じさせましたが、数か月が経過した現在でも、このプロセスはほとんど変わっていません。
次に、特許裁判地ですが、特許訴訟は被告が「居住する」地区、または「侵害行為を行った、恒常的な確立された事業所を有する」地区で起こすことができます。この規定についてCAFCおよび各地裁は30年近くにわたり、被告が販売を行った場所であればどこでも訴訟を起こせると解釈してきました。しかし、TC Heartland事件の最高裁判決では、裁判地法における国内企業が「居住する」地区とは、その企業が設立された州に限るとして、長年続いた運用を覆しました。この画期的な判決以降、各裁判所はTC Heartland事件が提起した数々の未解決の問題に取り組んでいます。TC Heartland最高裁判決から一年が経ち、特許事件の裁判地について学んだことについて、例えば、日本企業は米国のどこで競争相手を訴えることができるか、日本企業は米国のどこで訴えられる恐れがあるか、日本企業の米国子会社は米国のどこで訴えられる恐れがあるか等について掘り下げたいと思います。
最後に損害賠償ですが、米国特許訴訟で認められる外国での販売に対する損害賠償について、最近のWesternGeco, LLC, v. ION GeoPhysical Corporation事件における最高裁判決を紹介します。特許法第271条(f)には、企業が特許発明の構成部品を、外国で組み立てることを意図して発送した場合、特許侵害の法的責任を負う可能性があることが規定されています。WesternGeco事件の最高裁判決では、特許権者がこの逸失利益に対して損害賠償を請求できるという判断が示されました。外国企業は、この判決が自社のビジネスに与え得る影響について理解しておく必要があります。

本セミナーは企業知財部や特許事務所にご勤務の方で米国特許実務に携わっておられる皆様にとって、非常に有意義な内容となるものと思われます。多数の皆様のご出席を頂きたくご案内申し上げます。

※当協会は、弁理士会継続研修の認定外部機関として認定を受けていますと共に、本セミナーについても外部機関研修として申請中ですので、3.0単位が認められる予定です。ご希望の方には受講証明書を発行致しますので、申込の際、弁理士登録番号と共に予め事務局までお申し出下さい。なお、弁理士登録番号と登録のお名前に相違がございますと、単位認定手続きが却下されてしまいますのでご確認くださいませ。セミナー終了後、証明書をお渡しします。1.開催日時: 平成30年10月12日(金)13:30~17:00

2.会場: 金沢工業大学大学院 虎の門キャンパス13階 1301講義室
(東京都港区愛宕1-3-4愛宕東洋ビル)
(地図) http://www.kanazawa-it.ac.jp/tokyo/map.htm

3.講演者:Knobbe Martens

Kerry Taylor 氏(米国特許弁護士)

Joe Mallon 氏(米国特許弁護士)

Irfan Lateef 氏(米国弁護士・特許弁護士)

5.受講費: 会員5,000円(会員以外の方10,000円)
※お支払い:当日受付にて現金でのお支払いとなりますのでご注意ください。
※キャンセル:キャンセルの場合は前日までにご連絡ください。
当日のキャンセル及びご連絡がなくご欠席の場合は会費を請求させていただきます。
※代理参加:個人会員の方から代理者を参加させる旨の申し入れがあった場合は、代理者の会員受講費での参加を認めます。参加申込書には参加される方(代理者)の情報をご記入下さい。また、個人会員の方の氏名を参加申し込みフォームの「その他ご要望等」欄にご記入下さい。例)会員○○○○の代理
※金沢工業大学大学院の教員、学生の方々は、上記会員受講費(5,000円)で受講頂けますので、参加申し込みフォームの「その他ご要望等」欄にその旨をご記入下さい。

6.定員: 65名

会場の都合により、定員になり次第締め切らせて頂きますので、予めご承知おき願います。
☆セミナーで撮影した写真は報告書等で使用することがございますので、予めご了承ください。